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2007年3月13日 (火)

0000 序文 ~ 過去に制作した女性型ロボット

 これは、世界初のエンターテイメントロボットと銘打って、株式会社日本ビジュアルで1991年に完成、発表した等身大ロボット〈スセロティーナ〉でございます。
 ロボットに関する専門知識もないまま、手探りで設計製作を行いました。

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 ロボットと申しましても、これは映像作品のSFX(特殊視覚効果)のカテゴリーの一つである「メカニカルギミック」の類で、番組やイベントでキャラクターとして使用する目的で製作したものでございます。
 構造的には、ここ近年のブームによって世間で急速に発達しております、ラジコン用サーボモーターを組み合わせて作られるロボットの、原始的なモデルにあたります。

 外観のデザインは、当時(株)日本ビジュアルの社長であった将城省吾(佐野隆)氏の手によるものです。
 一見、空山基氏の描かれる「セクシーロボット」のイラストをイメージしたようにも見えますが、実の所は、海外で製作されたCGで動くメタリックロボットのCMに刺激されたとの事で、1989年に身長約80cmの人形として完成させた後に、動力内蔵の可動モデルとして等身大の開発に移っておまりす。
 ((株)日本ビジュアルは(株)内外タイムス社に吸収合併の後、解散。その後、将城氏は代々木アニメーション学院にて講師を務めていたそうで、このロボットは同校の広告にも使用さておりました)

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 この頃は、イベント展示用ロボットのほとんどが、まだエアーシリンダーを使っていた時代で、演技も単調でパターンも限られておりました。
 その当時においては、サーボモーターによって動作速度やポーズの停止位置が任意にコントロールでき、しかもリアルタイムに演技が変えられるスセロティーナは、画期的なモデルでございました。
 しかし、当時はまだ小型サーボモーターやコンピューターの性能が低かったため、現代よりもかなり大がかりなシステムになっております。

 自由度は、片腕あたり指まで含めて11ch。
 首の3軸と目口の開閉で頭部は6ch。
 足首はフリーのため、脚は股関節と膝のみ可動で片足4ch。
 腰の捻りを入れると、全身で37chに及びます。

 当時の一般的なラジコン用サーボモーターでは、このサイズのロボットを動かすにはトルクが足りなかったため、特に力が必要な肩から肘までと股関節には、映画〈ショートサーキット〉のロボットや、映画〈ジュラシックパーク〉の恐竜のメカニカルに使用されている物と同じ、静止トルク380kg-cmの大型ラジコン用サーボモーターを使用しております。
 しかし、そのままでは大きすぎて関節の数だけのサーボモーターを内蔵する事ができないため、サーボモーターのケースを切断し小型化して胴体内のスペースに収め、ギヤトレーン、チェーンドライブ、ワイヤーリンケージなどによって各関節に動力を伝えております。

 動作は、プログラムによる制御とともに、アナログのマスタースレーブシステムによる制御も可能で、パフォーマーが躰にモーショントレーサーを付けて演技を行う事で、リアルタイムにも演技を行えます。
 まだモーションキャプチャーという言葉も一般には珍しかった時代の事でございます。
 プログラム制御時は、ホストコンピューターとRS422シリアル接続された、最大64ch出力が可能なPWM回路からコントロール信号を送ります。
 ホストコンピューターは任意の物が使用でき、主にPC98シリーズと、NEXT社のNEXTが使用されました。

 当時のニュース番組〈ニュース23〉に紹介された際には、キャスターとしての試みもなされました。

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 当時は、まだノウハウの蓄積がないため開発は試行錯誤の連続で、現代から見れば大変効率の悪い部分や稚拙な部分が多々ございます。
 しかし、15年以上の歳月を経た今、ロボット業界のインフラは何倍にも発達し、多くの研究者、開発者によって様々なノウハウも蓄積されております。
 今、同様の等身大ロボットを作るのは、当時よりハードルが下がっていると言えるでしょう。
 今なら、当時よりも低コストで高性能なロボットの製作が期待できます。
 しかも、ワンオフで製作されるギミックではなく、等身大ロボットの開発プラットホームとしての量産すら困難ではないと思われます。
 これは、試す価値は充分にあるかと存じます。

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