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2007年3月15日 (木)

0002 メイドロイド™の、開発計画のスタート その2

 そんないきさつで、再び等身大ロボットを作る事となりました。
 メイド型ロボット――メイドロイド™でございます。
 サーボモーターのレイアウトを練り込み、それに伴い全身のサイズの変更、プランの細部を煮詰めます。

 何はともあれ、今はサーボモーターの性能が格段に上がっており、腕の殆どの部分がダイレクトドライブで設計できると言うのが、大変ありがたい事にございます。
 今では別段珍しくはないのでしょうが、私が15年前に制作した時は、等身大ロボットでこれ行うのは困難でした。
 指に関しては、今回も、胴体内にレイアウトしたサーボモーターからワイヤーで動力を伝達するワイヤーリグという方法を使用いたします。
 ワイヤーリグは、映画のSFXメカニカルに良く使われた方式で、ILMのスタッフがアカデミー技術賞をとった技術でございます。
 特にトルクの必要な肩、股、膝の関節には、サーボモーターを直列で2個連結して、トルクの倍増を行います。
 これはキャリブレーションが正確で弾性制御のできる現代のサーボモーター故にできる技術でござます。
 昔のサーボモーターでは、直列にして使うと立ちどころに焼損いたします。

 そうこうして設計を進めていたのですが、ある頃から、そのロボット会社の担当者からの連絡が途絶えました。
 後で知ったのですが、その担当者はロボット会社を辞め、企画は誰も引き継ぎをしていなかったそうです。
 ちょうど私も本来の生業が立て込んでおり、連絡がないのをいい事に開発の手を休めていたため、企画は自然消滅に近い形となっておりました。

 しかし、手を付けていた作業を途中で投げ出すのは性に合いません。
 そのロボット会社が作らないのなら、私が一から個人で製作する事にしようと決意いたしました。
 2006年4月。
 最初のスタートから一年経った頃の話でございます。


 私は造形の本職ではないのですが、一通りの材料の扱いは心得ておりますので、とりあえず形の検討のために粘土を練りはじめました。
 かつては、ハンス・ベルメール天野可淡四谷シモン等の、球体関節人形の写真集を集めては参考にしておりましたが、今ではその分野もずいぶんと裾野が広がっているようで、人形作家の方々も以前より増えております。
 模型分野の方でも、フィギュアやドールが増え、造形的にも構造的にもずいぶんと進化を遂げており、それらの商品や写真は巷に多数溢れております。
 資料には事欠かきません。
 そこで、参考になりそうな人形や写真集を集めてヒントにしながら、荒削りな所から形を作りはじめました。

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 設計を続けるにあたっては、サーボモーターを用意する必要があります。
 双葉電子工業のロボット担当の方に連絡を取って、色々とお話を伺いました。
 製品の仕様について非常に事細かく聞かせてもらえ、大変有益な情報が得られました。

 実際に双葉電子工業のサーボモータを購入するために、代理店である、件のロボット会社に連絡を取り、相談をいたしました。
 2006年7月の事でございます。
 以前の担当者はもういらっしゃいませんので、直接、社長とお話をさせていただきました。
 その折りに、そのロボット会社で進めていた新製品の企画などについても伺う事ができました。
 しかし、色々とお話をさせて頂くにつれ、どうもその社長の志向が私とは少々違う方向を向いていらした事に気付きました。
 その会社としては、ロボットを広く一般に売るのはあまり好まず、研究機関などに販売を限定していきたいとの事でした。
 一般に販売をすると、低価格競争になって薄利多売になりがちで、そういった商戦はあまり好まないと言う事だそうです。
 それよりも、限られた相手に適正価格で販売する方を選択したいとの事でした。
 確かに、一般に多く販売をすれば、ユーザーサポートの体制を敷く必要もあり、それはメーカーとして大変な手間がかかります。
 それなりの見識のある機関に販売するのは、取引も堅実ですし、初心者よりも技術面に長けているので、ユーザーサポートにかかる手間も違うでしょう。
 一つの見解ではございます。

 しかし、私としては、あまり好ましいスタンスではございません。
 それでは双葉電子工業は、このロボット用サーボモーターをあまり量産できないと言う事になってしまいます。
 この種の製品は、量産効果によって高性能低価格を実現しております。
 そのため、大量生産しなければ量産効果による利益が小さくなってしまいます。
 利益の少ない部門の製品は、今、いくら良い製品を作っておりましても、次世代、次々世代の開発が続けられるかどうか分からないのです。
 利益が芳しくないと、メーカーは開発を辞めてロボット用サーボモーター市場から撤退する可能性すら考えられます。
 事実、その当時の双葉電子工業のロボット用サーボモーターのシェアは、決して多いとは言えませんでした。
 他社製のサーボモーターのように普通の小売店では購入する事ができないのですから、当然と言えば当然でございます。
 ですので、もし双葉電子工業のサーボモーターを使ってシステムを組むと、将来、この分野の技術が進歩した時に、差し替えのできる新型モーターが双葉電子工業からは登場しない可能性も考えられます。
 この新世代のサーボモーターはシリアル接続のコマンド式ですので、一度システムを組みますと、今後サーボモーターのメーカーは統一した方が何かと都合が良くなります。
 それ故、メーカーの将来の展望はどうしても気になるところです。
 また、この時点での双葉電子工業のロボット用サーボモーターは、周辺パーツのインフラも他社に比べまして、いささか乏しく感じられました。
 設計に流用できるパーツが非常に少ないのです。
 一般ユーザーが少ないため、オープンソースで開示されるノウハウの蓄積も全くありませんでした。
 このインターネット時代に、先人の知恵をお借りする事ができないのは、とても大きなハンディです。
 サードパーティーの後押しがなかったのも辛い所です。

 優秀な面や、興味深い面の多いサーボモーターだけに、大変惜しゅうございます。
 これは、とても悩ましい問題でございます。

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